イソップ童話の「三人のレンガ職人」というお話をご存知でしょうか。
「なぜ勉強をしなければならないの?」という疑問をもつこども達は、まさにこのレンガ積みをしている一人目の男の心境なのでしょう。何のために勉強をやるのかわからない、何の役にたつのかわからない、という状態です。
こういったこどもの疑問にどう答えてあげればよいのでしょうか。
今回はそのあたりに焦点をあてていきたいと思います。
目次
学習意欲の低下
こどもは小さい頃は勉強すること自体が楽しいものですが、年齢が上がるにつれてだんだんと勉強に対する意欲は薄れていってしまいます。
小学校の高学年や中学生になると、勉強以外の友達との遊びや、部活、ゲームなどといったことに興味の対象が移っていき、だんだんと難しくなる勉強に対しては興味が無くなっていきます。
さらに、何故勉強をしなければならないのかということを考えるようになってしまいます。
そして「勉強しなさい!」と叱る親に対して、勉強しなければならない理由は何なのかという疑問をぶつけてきます。
「何のために勉強する必要があるの?」とか、「今勉強している内容は大人になってどんな時に必要になるの?」等です。
皆さんは、こどものこういった難しい疑問にはどのように対処されますでしょうか。正面からきちんと向き合って、こどもが納得する形で答えられていますでしょうか。
「テストで良い点をとるため。」や、「良い学校に入学するため。」、「将来安定した職業につくため。」等といった内容の答えでしょうか。
このような答えも間違ってはいないと思います。
実際、学校で教えられている内容の中には、テストや入試などの関門を突破する手段や、篩い(ふるい)で落とされないようにするための手段という側面があることも否定できません。
ただ、このような回答で、こどもは納得するでしょうか。「三人のレンガ職人」の二人目の男の境地に至ることは出来るかもしれませんが。
人生の目標
確かにテストの為に勉強しなければならないのかもしれませんが、その先にある意味をこどもたちは理解できません。
テストや入試のように短期的な必要に駆られてやらなければならないことは理解できても、長期的な必要性を見いだせない状態では、こどもたちの勉強に対する意欲を引き出すことは容易ではありません。
将来像を自分の意志で描くことが出来ているこどもにとっては、その目標に向かう上で必要なことであれば難しい勉強も頑張ることができるでしょう。
ただ、自らの意志で将来をしっかり見つめて日々の学習に努力し続けるようなこどもはかなり少数派です。
「なぜ勉強をしなければならないの?」という疑問に対して、こども達みんなの心に響く共通の答えは残念ながらありません。
実際に勉強しないからといって病気になるわけでも死ぬわけでもありません。
ただ、一つ言えるとすれば「勉強しないと将来損をすることになる。」ということでしょう。
また、人から感謝されることや、尊敬されることも少ないかもしれません。
こども達の心にどれくらい響くかは分かりませんが、以下の様な内容をこどもが将来やりたいことと結びつけて説明してあげると理解されやすいでしょう。
- 勉強をすることで、人生のいろんな場面でチャンスがあることに気付くことが出来る。(勉強をしていないことでチャンスを逃してしまう。)
- 勉強をすることで、これからの人生で発生する様々な未知の問題に対する解決手段の選択肢を増やすことが出来る。
- 勉強し続けていれば、 新しい価値観、新しい知識、新しい物の見方が身に付き、他人より有利に物事を進めることが出来る。
- 何かを始めたい、こんなことがやってみたい、と思った時に、ゼロから始めなければいけないのか、すでに知識がある状態で始めるのかでは、進化のスピードに圧倒的な差がつく。
将来やりたいこと、人生の目標がみつかれば、「三人のレンガ職人」の三人目の男のように、例え今やっていることが辛くても、未来を夢見て幸せな気持ちになれることでしょう。
今回のまとめ
いかがでしょうか。「なぜ勉強をしなければならないの?」という疑問は誰もがこどものころに抱いたものだと思います。大人になってから「もっと勉強しておけばよかった」と後悔することが多いですが、なかなかこどものうちはそれが理解できないものです。
将来の目標を定めて、その目標に対し現時点では何をしておかなければならないのか、という目的意識をもって勉強することができれば、それが単調で辛い内容だとしてもある程度は乗り越えることが出来るでしょう。要点を以下にまとめます。
- こどもは、学年が上がるにつれてだんだんと勉強に対する意欲を失ってしまう。
- 小学校高学年から中学生になると、「なぜ勉強をしなければならないの?」といった疑問を抱くようになる。
- 「テストで良い点をとるため。」や、「良い学校に入学するため。」、「将来安定した職業につくため。」等といった内容の答えは、本質を捉えていない。
- 将来像を自分の意志で描くことが出来ているこどもは、勉強することは目標に対する必要な手段であるという考え方が出来る。
- 全てのこどもに効果的な答えはないが、一つだけ言えるとすれば「勉強しないと将来損をすることになる。」ということ。
- こどもが将来やりたいと思っていること、人生の目標としていることがあるのであれば、それと関連付けて勉強の必要性を説いてあげると効果がある。
ご参考になさってください。
参考文献
NHK「ウワサの保護者会」:https://bit.ly/3r2dIUc
洋経済ONLINE:https://bit.ly/2NWad3j
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