我が子がもう少し自分から進んで勉強してくれたら。。。多くの親御さんがこのような悩みをお持ちではないでしょうか。
学習の内容が難しくなり、分からないことが多く、つまずいたままズルズルと対策出来ずに成績は下降の一途を辿る、というのがよくありがちなパターンだと思います。
ただ、中にはたとえ難題にぶち当たってつまずいたとしても、自分の理解のどこに問題があるのかを分析し、やり方を自分で考えて解決していける能力を持った子供もいます。
このように自分自身のことに関して、客観的な視点から観察・分析を行い解決出来る能力を、心理学の用語で「メタ認知力」と言います。
”メタ”には、”高次の”という意味があります。メタ認知とは自分自身の考え方、行動を客観的にとらえることをいいます。
あまり聞きなれない単語ですが、「メタ認知力」とは要するに、少し高い視点から俯瞰的に自分自身を眺められる能力と言えると思います。
自分から積極的に学習に取り組む「主体的な学び」が出来るようになる為には、このメタ認知力を鍛える必要があります。自分には何が足りないのか? どうすべきか? を自ら考える問題解決能力を養う必要があります。
メタ認知力は、幼児期の後半から発達し始めるといいます。このメタ認知力を鍛えるには、どうしたらいいのでしょうか?家庭で気を付けるべきことは何でしょうか?
今回はそのあたりに焦点をあてていきたいと思います。
目次
メタ認知力は高めることが出来る
メタ認知力が高い人は、自分の弱点や行動の癖などを客観的に見ることができます。この力は、学習への取り組みだけでなく、その後の人生でも役に立ちます。自分の考え方、行動の癖や、体のコンディション等を客観的に分析し、自分自身をコントロール出来る人間になれるからです。
メタ認知力が高いこどもは、自分が学習した内容の、「分かったこと」、「分からなかったこと」が自分自身で分かっており、「分からなかったこと」に対して分かるように解決しようと努力します。
それに対して勉強が苦手なこどもは、「勉強のどこが分からないの?」と質問すると、「全部分からない」と答えたり、広範囲の内容(例えば、数学や英語といった科目や大きな単元)を答えがちです。
ひどい場合は「何がわからないのかが分からない」と、自分が何を分かっていないのかすら分からないということもあります。
メタ認知力を高めることで、何か問題に直面したとしても、その問題に対して自分の考え方を客観視し、分析出来るようになり、例え間違えたとしても自分で解決しようという「問題解決能力」を高めることが出来ます。
メタ認知力は、持って生まれた才能ではなく、後天的に鍛えることが出来る能力であると言われています。訓練次第ではだれでもこの能力は高めることが可能なのです。
こどもに自ら考えさせる
では、ご家庭ではどのようなことに気を付けてこどもに接する必要があるのでしょうか。
まずは、こども自らが「自分はどこまで理解できていて、何を理解できていないのか」ということを意識させることから始めましょう。
具体的な方法として一番効果が期待できるのが、その日に学校で教えてもらった内容や、問題集を解いて間違えたもの、理解したと思っていることを、どこまで理解できていて、何が分かっていないかを、こども自身に説明させることです。
その際、親は教えようという態度で接するのではなく、聞き役に徹してください。こどもが説明につまづいたり、何か分からないことがあったとしても、決して答えを教えないようにしてください。
分からないことについては「自分はどう考えたのか」ということをこども自身の口から語らせるようにしてください。
言葉で表現するのが苦手なこどもの場合は、どのように考えたのかを絵等の本人が表現出来る形で良いので説明させてください。
このような問いかけを通して、こどもは自分がどのように考えたのかを徐々に意識するようになります。
この取り組みを忍耐強く繰り返すことで、こどもは自分を客観視出来るようになり、メタ認知力を高められるでしょう。
メタ認知力が高くなってくると、「自分はどう考えたのか」ということが整理できるようになり、その思考過程に間違いがあれば、気付きやすくなってきます。
教えてもらうのを待っているのではなく、こども自らが、「どうすればよいのか」を考えることが大切です。こどもが自分で考えられるように親がフォローしてあげることが非常に重要です。
メタ認知力は、これからの社会でもより必要となってくるものです。親がこどもに適性なフォローを行うことでメタ認知力を伸ばすことは出来ます。普段の生活から心がけるようにしてください。
今回のまとめ
いかがでしょうか。なかなか自分から進んで勉強に取り組まない、テストで同じような問題を何度も間違えてしまう。このようなこどもは自らを客観的に省みて、自分には何が足りていないのかを考える能力が低い傾向があります。このような能力を心理学的用語で「メタ認知力」といいます。メタ認知力は鍛えれば高めることが出来、それは家庭のなかでも取り組める内容である、ということを今回は書きました。要点を以下にまとめます。
- 自分自身を客観的な視点から観察・分析を行い解決出来る能力を、心理学の用語で「メタ認知力」という。
- 自分から積極的に学習に取り組む「主体的な学び」が出来るようになる為には、このメタ認知力を鍛える必要がある。
- メタ認知力が高い人は、自分の弱点や行動の癖などを客観的に見ることができる。
- メタ認知力を高めることで、何か問題に直面したとしても、自分で解決しようという「問題解決能力」を高めることが出来る。
- こども自らに「自分はどこまで理解できていて、何を理解できていないのか」ということを意識させる。
- どこまで理解できていて、何が分かっていないかを、こども自身に説明させる。
- こども自らが、「どうすればよいのか」を考えることが大切。
ご参考になさってください。
参考文献
日本教育心理学会総会発表論文:https://www.jstage.jst.go.jp/article/pamjaep/56/0/56_126/_article/-char/ja/
AERA dot:https://dot.asahi.com/aera/2013121200019.html?page=1
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