皆さんのお子さんのご家庭での学習時間はどの程度でしょうか。こどもの学力は学外学習時間、すなわち塾などの習い事や、ご家庭での学習時間に比例することは、過去の多くの調査結果によりわかっています。
ベネッセ教育総合研究所の調査結果によると、半数程度のこどもが、家庭学習時間が「ほとんどしない」もしくは1時間未満であるのに対し、2時間以上学習するこどもも、小学生で10%程度、中学生で15%程度と、学年が上がるにつれて一定程度存在することがわかっています。
また、同じ調査の中に、家庭での学習時間と学校での学習成績の関係を分析した結果があり、学力と家庭での学習時間に正の相関関係があることが読み取れます。
家庭での学習時間が長いほど、学力が高い傾向にあるということです。
では、こどもの家庭での学習時間は、どのような要因によってその長さが左右されるのでしょうか。こども自身の資質による部分もあると思われますが、ご家庭でのサポートにより変化するものでしょうか。
今回はそのあたりに焦点をあてていきたいと思います。
目次
こどもの勉強に対する親の意欲
皆さんは、お子さんの勉強の面倒をみてあげているでしょうか。勉強の面倒をみるといっても、塾の送り迎え程度のサポートから、塾には通わせず家でしっかり勉強を教えるレベルまで様々あると思います。
親が何も言わなくても進んで勉強に励むようなお子さんをお持ちの家庭では、何も心配はないのでしょうが、そのようなご家庭は少数派だと思います。
大抵はこどもに「勉強しなさい!」と促しても、いやいややり始めるか、反発してやらない、といった状況に陥ることが多いのではないでしょうか。
親はどの程度こどもの勉強の面倒をみてあげればよいのでしょうか。
こどもの学習時間はどのような要素に左右されるのかを分析した結果があります。
その中では、親の学歴や年収が高いほど、こどもの家庭での学習時間が長いという分析結果がでており、従来の調査結果を踏襲する内容となっています。
ただ、この調査の中で興味深い分析結果があります。
これによりますと、親がこどもの勉強を教える頻度・時間により、こどもの学習時間が長くなる傾向がある、ということがわかります。
親はこどもの勉強を教えるべき
家で親がこどもの勉強を教える方が、学外学習時間(学校以外で行う学習時間)が長くなる傾向があることについて、皆さんはどうお感じになられるでしょうか。
「親が横で強制的に勉強をやらせているのではないか」、「こどもはいやいやながらも勉強せざるを得ない状況にされているだけでは」といった見方もあるかと思います。
しかし、この調査結果では、親がこどもの勉強を教えることが多いほど、こどもの学習に対する意識は高いという結果も示しています。親に教えてもらっているこどもの方が、より勉強を楽しいものと捉えている割合が高いということです。
上記より、親は積極的にこどもの家庭学習に対して面倒を見るべきであることがわかります。
ただ、家庭で勉強を教える場合は注意しなければならない点があります。
それは、思い当たる方も多いと思いますが、どうしても我が子の為を思い、熱くなりすぎるということです。
私も塾講師や家庭教師として他人のこどもを教えていたときは、どれだけ理解力がない生徒であっても、怒るということはありませんでしたし、逆にどうしたら理解させられるのか、ということをこちらが勉強したりしたものでした。
ただ、自分のこどものこととなると違ってきます。
「なぜ何回も同じ間違いをするの!」とか、「こんなことも分からないの!」といった言葉がつい口から出てしまいます。
これはいけません。最もこどもの学習意欲をそいでしまいます。
頭では分かっていてもなかなか難しいのですが、ご家庭でお子さんに勉強を教える際は、以下の点に注意してください。
- こどもはわからなくて当たり前、一回や二回教えただけではすぐ忘れるものだと思うこと。
- こどもがわからなくても答えは教えずに、こども自身が解答にたどり着くようにさせる。
- こどもが理解できているかどうか、こどもに説明させてみる。
- イライラしない、怒鳴らない。(これが最も難しくて重要なポイント)
こどもの勉強は、決して学校や塾任せにはせず、ご家庭でしっかりフォローしてあげてください。
今回のまとめ
いかがでしょうか。こどもの学力は、家庭での学習時間に比例して良くなります。また、家庭学習の時間は、親が勉強をみてあげるほど長くなることも調査結果から明らかになっています。このような事実から、家庭学習における親のかかわりが非常に重要であることがわかりました。また親が勉強を教える際の注意点についても書きました。要点を以下にまとめます。
- こどもの学力は、家庭学習の時間に比例して良くなる。
- 家庭学習の時間は、親が勉強をみる頻度や時間が長いほど多くなる。
- 親に勉強をみてもらうこどもほど、勉強に対する意欲が高い。
- 家でこどもに勉強を教える際は、「わからなくて当たり前」と考える。
- こどもに勉強を教える際は、決して怒らない。
ご参考になさってください。
参考文献
ベネッセ教育総合研究所:https://berd.benesse.jp/
第一生命経済研究所:http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi/note/notes0709.pdf
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