皆さんのお子さんは家庭学習はしっかり行えていますでしょうか。
「学校の宿題しかやらない」、「やっているように見えるが成績が伸びない」といったことはないでしょうか。
家庭学習でやるべきこと、やってはいけないこととはどういった内容でしょうか。
今回はそのあたりに焦点をあてていきたいと思います。
目次
学力は家庭学習によって向上する
小学校6年生と中学校3年生を対象にした、全国学力・学習状況調査の結果から、学力と家庭での学習環境には大いに関連性があり、「学力は家庭学習によって向上する」ということがわかっています。
家庭学習を是非習慣化させて、お子さんの学力向上を目指しましょう。
ただ、親が思う通りに家で勉強するこどもは少数派ではないでしょうか。
エビングハウスの忘却曲線というものをご存知でしょうか。皆さんも一度は聞き覚えがあるかと思います。これは、ドイツの心理学者であるエビングハウスが、1800年代に提唱したものです。どのようなものかというと、グラフのように、一度覚えた内容を1時間後にもう一度覚え直すのにかかる時間は約56%(100%-44%)となり、1日後では約74%の時間がかかってしまうということを示した実験結果です。
※「1時間後に56%忘れ、1日後には74%程度忘れてしまう」、という間違った解釈が多く見られますのでご注意ください。正確には一度覚えたものをもう一度覚え直すのにかかる時間の曲線、ということになります。
このグラフからも分かる通り、出来るだけ早く学校や塾で学習した内容を復習することで、効率よく知識を定着できます。
ただ、「学校から帰ってきたら直ぐに遊びに出かけてしまう」、「学校から帰ったら直ぐに部屋にこもってゲームを始めてしまう」、お子さんのこのような行動にやきもきされている親御さんも多いと思います。
口うるさく勉強するように促してようやく宿題を始める、といった状態ということもあるでしょう。
やはり、予習復習
まずは短くても良いので毎日必ず家庭学習を行う時間を確保することから始めましょう。
勉強を開始する時間を決めてこどもに約束させましょう。
また、勉強を行う環境も重要です。
マンガやゲーム等の誘惑の多いこどもの部屋ではなく、リビングなどの周りの目があるところで行うのが望ましいでしょう。
家庭学習が習慣化できていないこどもは、何を行えばよいかが分からないことが多いので、その日学校で勉強した教科書の内容を読ませるといった復習から始めるとよいでしょう。
その他、学校や塾で行った問題集で間違えたところがある場合は、もう一度解き直すといったことも行うと良いでしょう。
家庭学習が出来ていないこどもをできるように習慣化させるためには、親もこどもも努力が必要になります。簡単に習慣化できれば苦労しません。
それには、比較的達成が簡単な目標を積み重ねることが大事です。
例えば、計算問題を1週間で〇〇題解くこと、や漢字を1週間で〇〇字覚える、といった簡単な「熟達目標」をこども自身に立てさせるとよいでしょう。
他者との比較となってしまう「遂行目標」よりも、自分の努力で達成することが出来る「熟達目標」を設定することがカギとなります。
自身の努力次第で達成できる「熟達目標」により、学習意欲を下げることなくこどもの自信をつけさせてあげてください。
家庭学習が習慣化出来ているように見えても、効果がないこともあります。
特に、小学校高学年生や中学生で多いのですが、家で勉強をしている様子はあるけれども成績が上がらないこどもは、ノートを綺麗にまとめることや、とりあえず字で埋めることで何となく勉強した気になってしまう、という傾向があります。
基本的には、小中学生の勉強は覚える(暗記する)学習が殆どです。
「まとめ」という作業自体は学習効果は大きくなく、それを覚えて知識として定着させることで初めて成績向上につながります。
特に中学生が定期テスト等の直前にノートのまとめをやって何となく勉強した気分になるのは最もNGな方法です。
学校で学習した内容のまとめをするのであれば、授業を受けた後のその日の復習時に手短に行うことが、忘却曲線のところでも触れましたが、最も効果的です。テストの直前ではまとめた内容を覚えているかどうかのチェックにひたすら時間を費やすべきです。
家庭学習が習慣化でき、復習が出来るようになれば、次のステップとして次の日に学校で学習する内容の予習をするようにしましょう。
こちらも最初は教科書を読むことから始めましょう。
学校の授業で初めて聞く場合と比べ、あらかじめ目を通した内容では、授業の理解度が大きく変わってきます。
事前に目を通しておくことで余裕も生まれますし、質問したい内容があれば事前に準備しておくことも可能になります。
予習、復習がしっかりできるようになれば、必ず成果は現れます。根気よく続けられるように、親もしっかりとサポートしてあげるという心構えが必要です。
今回のまとめ
いかがでしょうか。学力は家庭学習によって向上します。少しずつでも日々の努力を積み重ねることで、徐々に間違いなく成果に表れます。日々の家庭学習を習慣化できるように親子ともども努力をすることが肝要です。ただ、やり方を間違えると効果が出ないこともありますので注意が必要です。一つずつ目標をクリアし、自信をつけることでこどもが自ら学習する意欲を出すように、親はサポートしてあげる必要があります。要点を以下にまとめます。
- 全国学力・学習状況調査の結果から、学力と家庭での学習環境には大いに関連性があることがわかっている。
- 出来るだけ早く学校や塾で学習した内容を復習することで、効率よく知識を定着できる。
- 短くても良いので毎日必ず家庭学習を行う時間を確保する。
- 学校で勉強した教科書の内容を読ませるといった復習から始める。
- 比較的達成が簡単な目標を積み重ねることが大事。
- 「遂行目標」よりも、自分の努力で達成することが出来る「熟達目標」を設定することがカギ。
- 「まとめ」という作業自体は学習効果は大きくない。
- 予習をすることで、授業の理解度が大きく変わってくる。
ご参考になさってください。
参考文献
さんけん社:https://bit.ly/37DtMo2
ベネッセ教育総合研究所:https://bit.ly/3pKByCC
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